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Memory of Night 2
第23章 墓参り

 確かに、志穂の手術費用を集めていた時はバイト三昧だった。平日の夜も休日も働いて、空いた時間はひたすら眠った。体を壊さなかったのが不思議なくらいにすさんだ生活だったように思う。
 それでも、その時間を志穂のために使っていたとは思わない。ましてやその日々を後悔しているかといえば、決してそんなことはなかった。
 志穂は十九の時から事故で両親を亡くした自分を引き取り、必死に面倒をみてくれたのだ。そのせいで体を壊し、長い入院生活を強いられてしまった。
 志穂にたくさん世話になったから、少しでも多く返したかっただけだ。
 ただ、バイト三昧だった頃に感じていた思いがあるとすれば、もどかしさ。学生というしがらみを抜けて、大人になりたかった。一刻も早く自立したかった。
 だから自然と、卒業後の道は就職一択になっていたのだけど。
 確かに今なら、すぐ働くことにこだわる必要はないのかもしれない。

「……でも大学は誘惑も多いから、気をつけないとダメだよ」
「誘惑?」

 晃は一瞬口ごもる。

「……いや、あまり女の子の多いとことか、出会いを求める場には行かないでほしいというか」
「出会いなんて求めねーけど、女子の比率は知らん。まだどこ行くか全然決めてねーし。つか、この前俺のこと、『信用してるから』って言ったばっかじゃん」
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