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Memory of Night 2
第24章 姫橋祭

 軽くむせながら、晃は笑った。

「宵は……女豹(めひょう)っぽい」
「豹? いやいや、女豹は人間だろ」

 一瞬動物の豹を想像したが、ちょっと違う。四つん這いで猫のように背中を逸らした女性の姿が浮かんだ。

「えー、何を妄想したの? 宵のエッチ」
「……どっちがだ!」

 やいのやいのとしているうちに、夕飯を食べ終えた。洗い物を水につけ、食後の珈琲を入れた。
 それから、報告し忘れていたことを思い出す。

「そういえば、倉木先生今日来てたよ」
「あ、もう退院して体調も良くなったんだね」
「いや、まだ全然悪そうだったけど。頬もこけてるし目も死んでたし」
「それは……復帰して大丈夫なのか?」
「知らね。俺に聞かれても。でも進路の相談はした。文系で、国公立で、国英社の三科目で受験できるとこがいいんじゃないかって。こっから通えるとこで俺の学力で行けるとこ、どんくらいあるかな」
「ーーそっか、相談できたんだ」

 晃はそう呟いたきり、しばらく黙っていた。

「晃?」
「あ、ごめん」

 呼びかけると、はっとしたように宵を振り向き取り繕ったように笑う。

「いっぱいあるよ、バスや電車で通ってもいいし、自動車の免許も取れるようになるし、通える範囲はぐっと広くなる。ちょっとレベルが上の大学でも、今から勉強すれば学力は上がってくよ。ーー良かったね、卒業後の進路が決まりそうで」
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