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Memory of Night 2
第26章 承諾書

「いつも急すぎなんだよ」
「明日土曜だしちょうどいいかと思って。暇だろ
?」

 暇も何もない。普通の人は夜は寝るものなのだ。

「あ、晃にはもうショートメールした。オッケーだって。返事もきた」
「……あ、そ」

 なぜ同じ職場で働いている自分よりも晃に先に話がいってるのか、とか、じゃあ今さら自分に聞く意味はあるのか、とか、一応あのアパートの借り主は自分のはずなのに、とか、いろいろ突っ込みたいことはあったが、全て面倒になってしまってやめた。

「もう好きにして」

 投げやり気味な宵に、春加はにっこりと笑った。

「はい、決まり。店が落ち着いたら行くよ。今度はちゃんと着替えも持ってくから」
「持ってくんな。説明だけで帰……」

 またこの前のようにシャワーを浴びて帰るつもりなのか。
 そんなのは家でやれ、と思ったが、言い終わる前に春加はスタッフルームを出ていってしまった。
 店の営業に戻るのだろう。

「……たく、勝手すぎ」

 宵はため息つき、春加が出ていったドアの方を見やる。
 そこでふと気付く。

(どうせ家に説明に来るなら、承諾書その時でも良かったんじゃね?)

 素朴な疑問が浮かぶ。

(ま、いいか)

 宵はそこまで気にしていなかった。
 たが宵は、きちんと読まずに名前を書いてしまったことを、すぐあとに後悔することになるのだった。
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