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Memory of Night 2
第27章 コンセプト

 そして、三十分後。三人もれなく予想した通り、春加はソファーでがっつり潰れていた。

「おい、寝んなよ、あんた帰るんだろ」

 肘掛けに頭を乗せたまま目を閉じている春加に、宵は呼びかける。当然返事はない。

(引き留めなきゃ良かった)

 宵は大きくため息をついた。賄いを食べていってもらうため亮に声をかけたが、お裾分けして持ち帰ってもらった方が良かったのではと後悔していた。

「酒……」

 薄目を開けて、うわ言のように一言。

「…………」

 宵はもう言葉も出なかった。本当に、アル中かよ、と思う。

「はい、ハルちゃん」

 その時、亮がコップを差し出した。それは亮が飲んでいた烏龍茶だったが、春加は無言で受け取りいっきに飲みほすと、再び目を閉じてしまった。

「ここまで来るとアルコールかどうかなんてわからないから、適当に水とかお茶を渡しとけばいーよ」
「はあ……そうなんすね」
「ずいぶん慣れてるんですね、この人の扱い」

 隣で晃が口を挟んでくる。春加や亮に対してあまり友好的ではないからか、最初のやり取りでまだ機嫌が治らないのもあるのかもしれないが、今日はあまり会話に入って来なかった。
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