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Memory of Night 2
第30章 花魁ショー

 フロアにはどんどん人が増えていった。新規の客はほとんどいない。もともと常連客からの紹介で新規になる場合が多い業界だが、イベントの日は特にその傾向が強かった。

「宵、いつもみたいにドリンクまわって。ーーあ、来てるよ晃。あっち」

 通例通り春加からドリンクの指示を出され、ついでのように晃の居場所を教えられる。
 両手に料理を乗せたまま、顎で示された場所に晃の姿はあった。オールバックに薄手の黒のジャケット、中はグレーのワイシャツ。この店に来る時お馴染みの服装でいる。
 だが晃の周りには、何人かの女性客がいた。

(どこにいても寄ってくるな……)

 宵は声をかけようか一瞬迷ったが、相変わらずのモテっぷりを見てやめた。どうせ手持ちのドリンクにノンアルはないし、行ったところで、とも思う。
 学校でもそうだが、晃の周りには常に女性が多い。普段なら女子を周りに侍らせていてもそれほど気にはならないが、ここは特別な場所なのだ。
 性的なあれこれに対してオープンな場所。そういう誘いが来ないとも限らない。
 つい気にかかり、晃から目が離せずにいると、晃も宵に気付いたらしくばっちりと目があった。
 そのタイミングだった。唐突に耳元で囁く声があった。
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