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Memory of Night 2
第31章 来訪者

 血の繋がりが無くたって、ちゃんと家族であり、親子だ。

「ーー馬鹿だなあ。ほんと、変なとこ気にするんだな。そんなの、改めて言われなくったってわかってるよ。妹か弟かわかんねーけど、兄妹ができるのは嬉しいし、おめでたなんて嬉しい報告に決まってんだからさ、もっと楽しそうな顔で話しにこいよ」
「だって……、う……っ」

 頑張ってどうにか堪えているようだったが、やはりダメだったらしい。
 大きな瞳から、大粒の涙がぼろぼろと零れ落ちる。

「……泣き出すし。何歳になったんだよ」

 宵は手を伸ばしてティッシュを引き寄せ、箱ごと差し出した。
 思えば昔から、志穂は涙もろい。
 ふいに宵は、初めてこのアパートに来た日を思い出した。志穂に手を引かれ、アパートの玄関を開けた。

「ーー今日からわたしがあなたのママになる。この家で一緒に暮らそう」

 日だまりみたいな人だと思った。
 桃華とは全然違い最初は戸惑ったが、志穂のことも母親として好きになった。

(やっぱ志穂さん、嘘なんかつけねーよな)

 なぜ秋広とそういう関係になったのか。その疑問は強く残っていたが、志穂の性格を見れば、倫理を無視して不倫に走るような人ではないはずだ。
 いつか訊いてみたいとは思う。だがそれは今ではない。
 こんなめでたい報告のあとに、そんな話はいくらなんでも野暮すぎる。
 宵は志穂が泣き止むのを待ち、資料と共に進学する大学の詳細を話した。
 時間が過ぎるのはあっという間で、ひとしきり話して志穂が帰っていったのは、午後二時をまわった頃であった。
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