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Memory of Night 2
第30章 花魁ショー

 つい心の中で怒鳴ってしまう。
 双方向から伸びてくる土方と晃の手に、宵は一瞬怯むも、やはり高校生の晃にこれ以上酒を飲ませるわけにはいかない。

「……申し訳ありませんが、他のお客様もいますので」

 まずは土方に一言。

「カルーアミルクお好きでしたよね。作ってきますよ」

 続いて、晃。

「……お客様は確か、前にアルコールはあまり強くないと仰ってましたよね。オススメのノンアルコールを作ってきますので、お待ちください」

 おとなしくしてろという意味を込め、普段より三割増しくらいの笑顔を晃に向ける。
 晃は何か言いたげに唇を尖らせたが、宵はその前に、会釈と共にその場を離れた。
 ほとんど押し売りのような勢いでサービスドリンクを配り、手をあげていた若いカップルからオーダーを取り、急いでキッチンへ。
 カルーアミルクの原液を少し濃いめに、さらに焼酎も少し足し、悪酔いしてしまえという思いを込めての渾身の一杯を作った。

「宵、おまえ何してんの? サービスドリンクは?」

 春加が手元を覗きこんでくる。

「もう配ったよ」
「……なんか、しばらく見ないうちに手際良くなってんな」
「うるせえ、それどころじゃねーんだよ」

 晃がいるとやりづらくて仕方ない。
 晃のノンアルコールは手間のかからないコーラにして、宵はすぐさまキッチンを出ていった。
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