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Memory of Night 2
第30章 花魁ショー
「おい、晃」
「……ん?」
土方に特製レシピのカルーアミルクを渡し晃を探すと、ようやくその姿を捉えた。
フロアの隅、人波を避けるように、壁にもたれていた。
声をかけると、気付いたらしく振り向いた。
「器、大きすぎじゃない?」
宵が差し出したジョッキを見て、晃が目を丸くする。店で一番大きいサイズのジョッキになみなみとドリンクを注いできたので、晃が驚くのも無理はなかった。
「何? この黒い液体。炭酸?」
「うん、コーラ」
「……へー、オススメのノンアルねー。何を作ってきてくれるのか楽しみにしてたのに」
「普通に美味いじゃん、コーラ。好きだろう?」
そう言って宵も晃の隣に並び、声を潜めて言う。
「つか、アルコールなんて飲むなよ。一気飲みなんかして、なんかあったらどーすんの?」
「一杯くらい平気だよ」
「二杯目飲もうとしてたくせに、よく言う。そもそも量の問題じゃねーんだよ。高校生だし、体質的に受け付けないやつだっているじゃん。受験前だし。今日もこのあと予備校行くんだろ? 酒なんて飲むなよ」
「……だってあれ、君が作ったお酒なんでしょ? あの土方って客には自分から渡していたくせに」