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Memory of Night 2
第30章 花魁ショー

 どうやら、土方とのやり取りを全て見られていたらしい。

「嘘だよ嘘、あんなの。あの酒作ったのはキッチンの誰か。さっき出勤したばっかだし、作ってる時間なんてなかったよ。めんどくさいから、さっさとグラス渡してあのオッサンのそば離れようと思っただけ」
「五月の緊縛イベントの時に、前で君を縛ろうとしていた人だろう? ポスター撮影の場所も、あの人の所有する別宅に行くって言ってたよな? あと、撮影の時縛るはずだった人もあの人なんだろ。君に気があるの? おもいきり口説かれてたじゃん」
「……口説くっていうか、ただの言葉遊びだって」

 毎回のように一度でいいから縛らせてほしいと懇願されていることは、さすがに言えなかった。晃の嫉妬心に火をつけてしまいそうで。だがやり取りを聞かれてしまうと、いずれバレてしまいそうな気もした。
 確かに他の客よりはしつこいし最初の頃は多少強引さも感じたが、最近はそうでもない。
 土方が店に来る頻度は変わらないが、強引に迫られることはもうなかった。気を遣わずに接することができる分、他の客よりもらくなくらいだ。
 あとはもう、緊縛だけ諦めてくれたら文句はないのに、とも思う。

「ふーん」

 あからさまに不機嫌そうなトーンで一言こぼし、晃は目を細める。
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