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Memory of Night 2
第31章 来訪者

 翌日、予定通りの時間に玄関のチャイムが鳴った。
 ドアを開けると、花柄のワンピースの上に白いカーディガンを羽織った小柄な女性が立っていた。
 大河(たいが)志穂。宵の義理の母にあたる。
 柔らかそうな栗色のショートヘアを揺らし、宵の姿を捉えるとにっこりと微笑んだ。日だまりのような笑顔だ。

「おはよ。……またちょっと顔丸くなった?」
「もう、久しぶりに会って一言目がそれ?」

 今度は頬をぷうと膨らます。志穂はもう二十代後半だが、実年齢よりだいぶ若く見える。もともと童顔なことに加え、本人の性格が子供っぽいせいだ。

「上がって」
「お邪魔しまーす」
「もともと自分ちじゃん」
「だって、今は宵が晃くんと住んでるお家だもん。ーー晃くんは? 部屋?」
「いや、あいつも実家帰ってるよ。夜戻ってくる」
「……わたしが来たから?」
「違うって。模試見せに行くって」
「医大目指してるって前言ってたもんね。頭いいのねー」

 廊下を突き当たり、ドアを開けて部屋に招き入れた瞬間、志穂は目を丸くして辺りをキョロキョロと見渡した。

「相変わらず、綺麗にしてるのねー! 宵が一人でいた頃とは大違い!」
「……家に来たやつみんな同じ反応するんだよなー」
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