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Memory of Night 2
第31章 来訪者

 志穂に関しては、宵が一人で住んでいた頃の有り様を知っているので、なおさら比較されてしまう。
 今は志穂は弘行と一緒に別の賃貸に住んでいる。何度か行ったことがあるが、オートロックで部屋数もここより多い、広いところだった。
 志穂は退院直後は一度ここに戻ってきた。その後、新しい場所を借りた弘行が志穂を迎えにきたのだった。もちろん宵も連れていく気でいてくれたらしいが、宵はそれを断った。
 せっかくの新婚生活の邪魔をしたくはないし、住み慣れた場所にずっといたいとも思ったからだ。

「ソファー、適当に座って。なんか飲む? コーヒーとか」
「いい、大丈夫」
「なら紅茶は?」
「あ……紅茶も、大丈夫。おかまいなく」

 一瞬、志穂の茶色い瞳が困ったように揺らいだ気がした。
 志穂の服装はいつもと変わらなかったが、少し違和感を覚える場所があった。

「……そういえば、カフェインレスの紅茶もあるけど、それも要らね?
 眠気覚ましによく晃が飲んでんだよね」

 最近は深夜まで過去問に向かっていることも多い。眠気覚ましによくコーヒーを飲んでいたが、夜だけで十杯近く飲む日もあり、さすがに心配になってとめた。カフェインの摂りすぎはよくないはず。
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