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Memory of Night 2
第32章 雪

「ーー宵、外見て外! 雪が降ってるよ!」
「雪?」

 部屋のドアが開くと同時に、珍しくはしゃいだ声で晃が言う。
 ソファの上でだらだらとくつろいでいた宵は、立ち上がってカーテンを開けた。そこには確かに、白い粒が舞っていた。

「マジか、初雪じゃん。……寒ぃと思ったら」
「ねえ、ちょっと散歩しない?」

 晃は楽しそうだった。

「今から? 何時だと思ってんの? もう日付変わってんだけど」

 もう少し早い時間ならまだしも、深夜一時になろうとしていた。夕飯も風呂も済ませ、そろそろベッドに行こうかなというタイミングに言われても、なかなか外に出る気分になれない。

「ほら、受験勉強の息抜きに。眠気覚ましになるから、付き合ってよ」
「覚ますな。さっきまで寝ようとしてたんじゃねーのか」

 晃は右手に歯ブラシを持っていた。寝るための準備をしていたのに、眠気覚ましは意味がないどころか逆効果だ。

「細かいことは気にしない」

 晃は宵のダウンジャケットを勝手にハンガーから外し、ぽん、と投げて渡した。

「ほら、デートデート。一、二時間で止んじゃいそうだから、早く」

 雨雲の動きをスマホで調べたらしい。
 返事をする前に晃は玄関に向かい歩いていってしまい、宵は仕方なくそのあとを追った。
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