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Memory of Night 2
第32章 雪

 とりあえず街中に向かった。クリスマスに向けて、早いところだとイルミネーションが始まっている。車は好きだったので、昔はよく目的もなくブラブラ走らせていたが、そうすると平気で数時間経過してしまう。

「で、もやっとするって何が?」
「あー……」

 宵は言葉を探すように、軽く首をかしげた。

「……あんたが言う綺麗な感情って、何?」
「え?」

 質問に質問で返されるとは思っておらず、春加は目をしばたかせる。

「純粋な関係って? ……あんたに母さんのことを聞いた時、見下してるんだろって怒っただろ? ーー汚いって、思ってるんだろって」

 ああ、あの時か、と春加は思い出した。
 酷い二日酔いにイラついてたのもあり、宵に怒鳴ってしまった。それをずっと気にしていたのだろうか。

「あん時は体調がクソだったから、苛立ってただけだよ。怒鳴って悪かった。ただの八つ当たりだから、気にしなくていいよ」

 この少年に、桃華の面影が重なって見えた。とっさに口をついて出てしまった言葉は、そもそも宵に対してではなかったのだ。

「……ふーん」

 短い相槌とともに、宵はじっと春加の顔を見つめてくる。
 あまり表情のない瞳で見つめられ、なんとなく居心地が悪かった。春加は視線を逸らした。心の内を探られているような気がして居たたまれなかった。
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