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Memory of Night 2
第33章 撮影旅行前夜

 真っ白な病室で、赤子を抱く桃華の笑顔。
 土砂降りの中参列する、喪服の人影。
 そして、アパートに尋ねてきた二人組の男。春加は二日酔いの頭で、呆然と告げられた現実を聞いていた。
 春加はひたすら首を振り、拒否の意を示し続けた。

「ーー本当にいいんですか? あなたには、その権利があるんですよ」

 くたびれてへたったスーツを着た小太りの男がバインダーを眺め、そう確認した。
 そうしてペンを握りーー。

「う……」

 込み上げてきた酷い吐き気が、春加の意識を過去から現在へと連れ戻した。
 そのままトイレに駆け込み、胃の中に残っていた、店で摘まんだ唐揚げを吐き出す。
 ーー俺はあんたを嫌いじゃない。
 宵の言葉が蘇り、春加は再びせりあがってくる胃の中のものを全部吐き出した。もう胃液だけだった。
 鼻をつく酸っぱい臭いと苦しさに、眦には涙が溜まる。

「嫌ってくれていい……」

 酷く掠れた声で、呟いていた。
 膨れ上がってくる記憶達は、無理矢理蓋をしてしまうにはあまりに膨大で、もうこれ以上知らない振りはできない。
 認める以外なかった。
 抱えたパンドラの箱の蓋は、とっくに開いているのだとーー。
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