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Memory of Night 2
第34章 衣装合わせ

「そんなに撮影って時間かかるもんなの? 衣装着て、写真何枚か撮るだけなんだろ?」
「そんな学芸会みたいなノリでわざわざ東北まで来ないだろ。もっと時間かけるよ。何せ店と着物教室の数年間の売り上げを左右するかもしれない大事なポスター制作なのに。このあと昼食べたらすぐ衣装会わせ。メイクとか、着方なんかもいろいろ試して、明日は朝からすぐに撮影に入れるようにするから」
「……外で撮るんだっけ?」
「そ。こっから二十分くらい歩くかなあ。場所が外だから」
「そんな遠く? その辺の雪山背景にとかじゃねーの? つかなんで歩き?」
「車は入れないとこなんだよ」
「……やだよ、山登りじゃん」
「アメリア先生が苦労して見つけたイメージにぴったりの場所があるんだと」
「……どこ? 山の頂上とかじゃないよな?」

 宵が怪訝な顔で聞き返す。
 見渡す限り白く自然に囲まれたこの辺りの景色は、どこも絶景だと思うが。そんなに特別な景色を見られる場所が、整備もされてないような山道の先にあるのだろうか、と思う。
 春加は首を振った。

「山の頂上じゃない。ーー洞穴(ほらあな)だよ」
「……あー……」

 それは確かに、どこにでもあるようなスポットではないよなあ、と納得はしたが。
 嫌な気持ちは変わらず、宵はそっとため息をついた。
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