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Memory of Night 2
第34章 衣装合わせ

「とりあえず全部羽織ってみて」

 春加に促され、宵は上着を脱いだ。晃が着物を持ち、羽織らせてくれる。

「ウィッグ」

 スタッフの一人が素早く持っていく。

「ちょっと失礼しますね」

 そうして宵に銀色の髪のウィッグをかぶせた。色は奇抜だが、ウィッグの質は地毛と変わらないように思う。ストレートで背まであった。

「久々の長い髪だね」

 晃が笑う。

「おや、綺麗な子がいるなーと思ったら。もうメイクまで決まったのかい?」

 唐突に声がした。ドアの方を見ると、亮が部屋へと入ってきたところだった。

「……んなわけないでしょう? まだウィッグかぶせただけでどの着物にするかさえ決まってないですよ」

 春加が呆れたように言う。

「あ、そうなの? メイクなしでこんなに違和感ないなんて、本当に美人さんだね」
「……ありがとうございます」

 単に女顔だと仄めかされている気がしたが、そういうニュアンスの言葉をかけられることも、髪が長かった頃はよくあった。
 キャスター付きの姿見を目の前に用意され、自分の姿を見てみるが、確かに髪の色以外は違和感がない。

「……複雑」
「俺はいいと思うけど」
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