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Memory of Night 2
第35章 同室者

「まったく。……桃華さんの話は、徹底して避けるんだよね、ハルちゃん。お母さんに外見が似てるからか、宵くんに八つ当たりする時もあったけど、かと思えば逆に構ってもいるから、ハルちゃんの宵くんに対する真意がよくわからなくて」
「八つ当たりって……何したんですか?」

 晃の声が、鋭くなる。ドライブの時みたいに、嫌がらせや危害を加えようとしたならやはり春加は許せない。

「そんなに酷いことはしてないよ。二日酔いが酷い時に、怒鳴ってたくらい。でも多分宵くんあまり気にしてないみたいだし心配しなくて大丈夫。基本、仲良いし。むしろ、宵くんもハルちゃんに強い興味を持ってるみたいだった」
「そう……みたいですね」

 それが何より不思議だった。
 宵が他人に興味を持つのは珍しい。それこそ育ての親である志穂や、仲のいい同級生くらいだろう。連絡を取ったり、話を聞いているのは。
 けれど春加にはバイトを始めた当初から、興味を持っているようだった。
 ドライブに連れまわされた時も、彼女を悪くは言わなかったし、彼女自身への警戒心もそこまで持っていなかった。車での送り迎えだけ断っていたが、晃からしたらそういう問題ではないと思うのだ。普通、自分の意志を無視して山になど連れていかれれば、その人自身に警戒心がわく。二度と関わりたくないと思うのが本能ではないのかと思う。
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