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Memory of Night 2
第35章 同室者

 だが宵にはそこまでの感情はないようだった。
 最近は自分から彼女の車に乗り、話をしてきていた。そこまで春加を気にしていたことに、内心驚いてはいた。まして、どういう類いの興味なのかもよくわからないというのだ。理由もないのに他人に興味を持つことなど、あるのだろうか。

「同じ部屋で二泊もして、二人の関係がどうなるかなと思ってさ」
「…………どうにもなんないでしょうよ」
「なんないかなあ、やっぱり」

 亮は楽しそうに、はっはっは、と笑った。

「晃くんは、嫌かい? 宵くんがハルちゃんと同じ部屋で寝るの」
「ーー嫌ですよ、普通に。当たり前でしょう? 別にハル姉じゃなくたって、女だろうが男だろうが宵が俺以外のやつと同じ部屋なのは嫌です。宵の隣は、俺だけの場所です」

 朝から一日、ずっと隠していた本心だった。恋人だとバレないようにしろと春加に言われてからなるべく宵と距離を空けるようにしたが、不満ばかりだった。
 部屋が違うこと。土方の馴れ馴れしい態度。撮影部屋での肌襦袢なしの衣装や、宵に触れるアメリアも。
 もちろん撮影のためにしていることで他意はないことはわかっていたが、それでも、宵の一番近くに立つのはいつも自分でありたい。いや、本当は独占したかった。
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