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Memory of Night 2
第35章 同室者

「えっと……邪魔しちゃってごめんね。晃くんと同じ部屋が良かったらいつでも替わるから。言って」
「ありがとうございます」

 宵は部屋を出るためドアに手を伸ばした。ドアノブをまわしかけていた手の動きがふいに止まる。
 一瞬の躊躇いのあと、ぼそりと呟くように問う。

「……マスターにはいないですか? 大切な女性」
「え?」
「前に春加さんのこと、店にとって必要だって言ってたでしょ? 店辞めたらもう必要ないですか? ーーその先の人生には、要らない?」

 晃は驚いて宵を見る。宵にしては珍しく、かなり踏み込んだ質問だったからだ。
 だが亮の返答を待たずに、宵は自分から投げかけた問いを撤回した。

「……すみません、しつこいっすよね」
「三度目かなあ、同じようなこと聞かれるの。……そんなに、ハルちゃんと僕をくっつけたいの?」

 くすくすと、亮は笑った。

「……いえ」

 宵は短く答え、もう一度ノブをまわす。

「ーー二人なら、見せてもいいかな」

 亮のそんな呟きに、宵は再び振り向いた。
 何を思ったのか、亮は見慣れた濃いグレーのシャツのボタンを上から外していった。最終的に全て外し羽織るだけになってしまったシャツを、脱いでしまう。
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