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Memory of Night 2
第6章 呼び出し

 タクシーは十分ほどでアパートの前まで来た。いつも春加が送ってくれる時、すいている時間帯で十五分ほどだ。今ならどれくらいで着くだろう。
 二人は後部座席に乗り込み、あらかじめ確認しておいた店の住所を伝えた。

「……なんだよ、その格好」
「いや、さすがにバレたらまずいからね、年齢とか。誰もいないとは思うけど、万が一高校の関係者に見つかっても逃げられるように、変装しないと」

 そういう晃は珍しくワックスを使い、髪型を変えていた。前髪をあげ、サイドの髪も後ろに流して耳にかけている。
 服装も、休みの日に出かける際はパーカーやジーンズなどのラフな格好が多いのに、今日は固めのジャケットを羽織っていた。

「どう? 大人の男に見える?」

 切れ長だけれど、どこか甘い茶色い瞳。普段だって晃はそれなりに大人っぽいが、髪を後ろに流しているからか、色香が増しているように思う。
 間近で見つめられ、ついドキリとしてしまう。

「大人っていうか……、ホストか詐欺師にしか見えない」

 長い時間目を合わせていられず宵が瞳を逸らして答えると、照れているのがわかったのか、晃は楽しそうに笑っただけだった。
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