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Memory of Night 2
第35章 同室者
黙々と十五分ほど歩き続け、ようやく平地になった。
「アレ、ダネ!」
アメリアが指し示す先を見ると、そこには確かに洞穴があった。
三メートル以上高さのある入り口には岩が重なっていて、そこまで大きくはないが、雰囲気はある。ぱっと見たところ、奥行きはそこまでないようだった。
三人は近付いていき、春加がそっと、懐中電灯で内部を照らす。
冬眠中の熊と言われ最初は冗談かと思ったが、これだけ山の奥にあるなら居ても不思議じゃない。熊じゃなくとも、何か動物かコウモリが棲みついていそうだ。
春加は慎重に、奥へと光を向けていった。そうしながら洞穴内へと進んでいく。洞穴の中はひんやりと冷たく、どこか湿った空気だった。
奥行きで言ったら、十メートルちょっとだろうか。地面や上の方にも懐中電灯を向けながら探るが、幸いなことに動物やコウモリも見当たらない。巣らしきものもなかった。
「大丈夫そうだな」
とりあえず、すぐに襲われて喰われるような心配はなさそうだ。
「冬で虫はそんなにいないだろうが、一応置いておくか」
春加は鞄の中から部屋に置いておくような虫除けを三つ出し、三ヶ所にセットした。