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Memory of Night 2
第36章 洞穴

 ーー時刻は少しだけ遡る。
 突然鳴り出したアラーム音に、部屋でそれぞれ過ごしていた晃と亮は顔思わずを見合わせた。
 緊急地震速報だった。

「……おや、地震かな」
「みたいですね」

 晃は参考書を開き、亮はソファーでスマホを弄っていた。
 すぐに、微弱な揺れがあった。食器の入った棚の戸が、小刻みに震えた。

「揺れてる?」
「……少し」

 意識していなければ見過ごしてしまうくらいの小さな揺れだった。
 そのあとも身構えはしたが、特に揺れはおきない。

「大丈夫そうだね」
「ですね」

 緊急地震速報が届いたとしても、震度1や2の時はある。被害が無いのが何よりだ。

「こっちは震度1みたい。震源地はーー」

 亮が調べてくれていた。
 晃は宵のことが気になり、テーブルを立った。部屋に行ってみようとしたが、先ほどの宵の鬱陶しげな態度が蘇り、思い直してまた座る。
 あまり構いすぎて嫌がられてしまっても悲しい。

「あれ、宵くんの様子見に行かないの?」
「……行かないですよ、これくらいのことで」

 亮のにやついた顔を、晃は軽く睨み付けた。
 どうせあと三十分ほどで夕食の時間だ。食堂ですぐに会える。
 それまでは勉強に集中しようと決めて、晃は再び参考書を開くのだった。
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