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Memory of Night 2
第36章 洞穴

 ーー緊急地震速報の直後。
 まだ春加の思考は他の二人と同じだった。
 宵の一喝で、すぐに洞穴内の異変に気が付いた。ここは崩れる恐れがある。
 宵がアメリアを連れ出すのを視界の端で捉え、安心すると同時に自分もすぐ後を追って外に出なければと思った。
 幸い荷物は近くにあった。駆け寄り、ショルダー紐を引っ掴み、出口に向かって駆け出そうとした刹那ーー。
 頭の中で呼び止める声があった。
 春加の心臓がドクドクと脈打つ。考えないように、考えないようにと逃げてきた声でもあった。
 このままここに留まれば、ずっと抱え続けていた漠然とした願いを叶えられるのではないか。
 遠くへ行きたい。自分を捨てたい。騒がれるのは嫌だった。自分の存在自体を始めから無かったことにして、このまま静かに消えてしまいたい。
 ーーずっとその方法を探すことだけは避けていた。そうしたら引きずられて、自ら選んでしまいそうだったからだ。ふとした瞬間に訪れて、誘う。
 今なら自ら探し、選ばなくても、事故という真っ当な理由で願いを叶えられるかもしれないのだ。
 パラパラと、崩落の始まる音がする。春加にはそれは、恐怖よりも誘惑だった。どうしようもなく甘美な。
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