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Memory of Night 2
第2章 秘密のアルバイト

 ショーに夢中だった中年の男は、その声に隣を振り向いた。
 どうぞ、とドリンクをテーブルに置くスタッフを一目見るなり、中年の男は驚いたように目を見開いた。

「見かけない顔だな。新入りかい?」
「はい。二週間くらい前から」
「へー」

 中年の男はにやりと口元に下卑た笑みを浮かべ、店員を見つめた。
 肩につかないくらいの黒髪、くっきりとした二重の目は珍しい灰色だった。通った鼻筋と、形のいい唇。まるで作り物のような整った顔立ちだ。
 声は低めで、見た目よりも上の年齢に聞こえた。

「……驚いたな。君みたいな美人、見たことがない」

 ありきたりな口説き文句のようだが、本心からこぼれ落ちた言葉だ。

「ショーにはいつ出るんだい? 必ず見に来るよ」
「……お言葉は嬉しいですが、自分はドリンク専門なので」
「ええ? 冗談だろう?」

 中年の男は美しい店員の右手を掴む。

「こんなに綺麗なのに、そんなのもったいなさすぎるだろう。君もあの子のように縛られたくはないかい?」

 ステージを差す男。海老反りにされた女性が激しく身をよじっていた。艶めいた声がステージから響き渡り、バーはいつにも増して淫靡な空間となっている。
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