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Memory of Night 2
第7章 緊縛イベント

 そこに関しては、宵は素直に謝った。自分も嫌だったからだ。露出の激しいあの女性の体に晃が触れているのも、密着しているのも。あのまま緊縛が行われていたら、嫉妬で見ていられなかったかもしれない。

「俺も土方さんに指名されたみたいで、さっきいきなり言われたんだよ」
「土方さん?」
「前で俺の体を縛ろうとしてた人」

 さすがに普段からセクハラまがいなことをされれていることまでは言えなかった。それこそ、バイトをやめろと言われかねない。

「緊縛イベントに関しても、出勤してから聞かされたし……」
「あえて言わなかったのかもね」

 小さなイベントとはいえ、演者として指名をされているのなら、もっと早く話があるはずだ。せめて電話の時に言うべきだろう。
 そもそも、バイトが足りないから出て、というあの電話自体が怪しく思えてくる。

「…………ハル姉にハメられた?」
「知らね」

 春加の考えていることは、宵にもよくわからないことが多い。
 その時だった。ヒールの音が聞こえ、宵はとっさに更衣室の電気を消した。

「宵ー!」

 スタッフルームのドアが開き、同時に名前を呼ばれる。声で春加だとわかる。噂をすればなんとやらだ。
 宵達は息を潜めていた。

「たくもう、あいつどこ行った?」

 バタンとドアが閉まる音。
 二人はほっと息をつく。バレずに済んだようだ。

「マジで戻んねーと」
「ハル姉怒ってる?」
「……忙しいだけじゃね?」
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