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Memory of Night 2
第7章 緊縛イベント

 ドライヤー片手に手招きされる。一緒に暮らすようになってから、宵が髪を自分で乾かしたことはほぼない。大体自然に乾くのを待つか、風呂のあとすぐにベッドに入る時は晃が乾かしてくれるからだ。そういうところ、本当にマメだ。
 洗濯、掃除、炊事、家事のほとんどを晃がしてくれているのに、さらに身の回りの世話までしてくれる今の状況は、なんと至れり尽くせりなことか。

「一緒に住み始めて、おまえがモテる理由がすげーよくわかった」
「ええ? どういう意味? 俺、宵以外と同棲経験ないよ」
「でもしょっちゅう泊めてただろ?」
「……まあ」

 そのたびにこんなに甘やかされたら、そりゃ落ちる。顔が良くて口説き上手で一緒にいる時マメに世話をやいてくれたら、そりゃ好きになるよな、と思う。

「付き合って泊めたとしても、長続きしたことなかったよ。それに君の方がモテてただろ?」
「……知らね。モテたっていうか、顔だけじゃん」

 確かに好きだと言われたことは何度もあったが、大半が話したこともないような子達ばかりだ。今のバイトを始めてから客に口説かれることもあったが、褒められるのは九割外見。
 晃は苦笑した。

「顔だけでそこまで好かれるなんて逆にすごいよ。でもそうだなあ、美人は三日で飽きる、なんてことわざもあるし」

 ドライヤーが止まる。
 晃は黒い艶やかな髪を撫でながら、首筋にキスをした。

「ーー夜の相手の方も、頑張ってもらわないとかな」
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