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親友のカレ
第1章 親友のカレ
高校の時からの親友だった真奈に"紹介したい人がいる"と言われ駅前のファミレスに誘われたのが全ての始まりだった。
「凛〜!こっちだよ〜!」
一番奥のボックス席で眩しいくらいの笑顔を浮かべ、私に向かって手を振る真奈。
そして、その隣にはいつもニコニコしていて愛嬌のある真奈とは見るからに正反対の彼が座っていた。
『ご、ごめんね…。仕事、長引いちゃって…』
「全然いいよ〜!むしろ、仕事忙しいのにわざわざ時間作ってくれてありがと!半年ぶりだよね?久々に会えて嬉しい!」
ドリンクバー用の氷が入ったグラスをストローでカラカラと掻き混ぜながら、真奈と向かい合わせで座った私を何か言いたげな表情でじっと見つめる彼。
私の顔に何か付いてる?それとも、どこかで会った事がある?なんて、モヤモヤとした気持ちが胸の中で渦巻く。
「それでね?今日、紹介したいって言ってたのは 私の彼氏の棗くん!同じ大学に通ってる先輩なの!カッコいいでしょ!」
頬を真っ赤に染めながら、"棗くん"と呼んだ彼の肩に寄り添って、嬉しそうに微笑む真奈。
確かに、彼はカッコいい。
可愛くて女の子らしい真奈に、とてもお似合いな容姿をしていると思う。
だけど…、どこか引っ掛かるものを感じた私は 素直に頷く事が出来なかった。
『…は…、初めまして…。凛です…』
私の言葉に答えるように、ニッコリと作り笑顔を浮かべる彼。
その瞬間、その奥に潜む本性が少しだけ見えた気がした。
「あ。ママから電話きたから、ちょっと話してくるね〜」
『えっ…。う、うん…』
スマホを片手に席を立った真奈がお手洗いに向かうと、気まずさを紛らわすように、テーブルの端に立て掛けてあったメニュー表を開く。
すると、同じタイミングで胸ポケットに入れていたスマホを取り出した彼が、初めて口を開いた。