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訪問 パティシエSana
第6章 Sanaの選択
 しかたがないので店内で物色していたが帰ろうとしてSHOPの入口に向かうと身なりが良い紳士然とした男が店内に這入って来たのと鉢合わせになった。
「これは、これは」と笑ってお辞儀をした。
 誰だか分からなかったが続けて男が小声でいった。
「クリップ」
 顔を赤らめてSanaはお辞儀をした。外れたマロンクリップを手渡した男であった。
「少しお時間を頂戴して、お茶は如何でしょうか」と男は丁寧に尋ねた。
Sanaは少し迷ったが承諾して男についていった。男はすぐ先の珈琲店へ這入っていった。傍から見れば旧知のなかと思えるほどに自然であった。
 一番奥まったボックス席に座ると、男は向かいの席を手で示してSanaを促した。
 店員が来て注文を取って下がると、
「実は偶然ではないのですよ。ばらすとさっきのSHOP店員さんにあなたを見かけたら知らせて貰う依頼をしていまして、知らせを受けて来たということです」と言って笑い、
「本日はエレガントな雰囲気で見違えるところでした」
「先日、お怪我はありませんでしたか」と続けた。
「大丈夫でした」と小声になって言って、はっとなった。場所が場所であったからだ。
「それは何よりでした。犯人が逃げたのを大勢で追っかけて大捕り物になってしましました。犯人は御用となりましたが、肝心の被害者がいなくなってしまったので、警官も困っていましたよ。でも、警察署に連行されて取り調べにはなったみたいです。犯人はこの辺では有名な男でして、被害にあった人は大勢いるようです。この頃はおとなしくしていたのですがね。おたくを見て病気がでたというところです」と言ったところで注文品が運ばれてきた。
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