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訪問 パティシエSana
第6章 Sanaの選択
 男は珈琲を少し飲んで、Sanaのも手で勧めながら、
「お嬢さん、先日の姿は見る人が見ると分かるのですよ。ちょっと、この辺で話題になっています。昼間だったので人目は少なく良かったです。夜なら危険でした。怒っているわけではないのですよ。パートナーなしであの姿で出歩くのは危ないです。見るところいらっしゃらないようですね」と説明するようにいった。
 男は少し躊躇をたようだが、
「今日も、『なか』は同じような恰好ですね。音はしませんがね」と言った。
 黙って聞いていたSanaは、すべてを知られているようで無知なことが恥ずかしかった。そして色々聞かれて、Sanaは決心をしてあの男のことを話した。初対面ではあったが信頼に足る人と思ったからだ。ぽつぽつと話すSanaの話を適当に相槌を打って聞いた男は、
「よく話して戴けました。私は実は悪い奴でして、あなたを探してあるところに紹介して金銭を稼ぐつもりなのです。いわば斡旋業をやっているのです」と堂々と言った。
 Sanaは驚いてじっと男をみたが、男は笑顔のままであった。
「健全なお遊びなのですが、内容は非日常で、異常で変態ですよ。いわば金持ちの道楽であり退屈しのぎです。でも当人達は至って真剣にやっていますね。そう、見えますか。その扉を通るとその世界があります。ちょっと覗いてみるのもいいですよ」と言って自分席の隣の扉を指さした。その扉はプライベートという名札が張り付けてあった。普通は従業員用の意味である。
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