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フレックスタイム
第6章 婚約、そして初めての夜
流石に連絡して、その翌日からというのは難しいとはいえ、
土曜日には古川さんが住み込みで来てくださることになった。

木曜と金曜は、社長は忙しくて帰りは遅く、
お母様とケンと私の3人での夕食となった。


「百合さんはお料理上手なのね?」

「ありがとうございます。
味付け、大丈夫ですか?
薄めにするようにしてますが…」

「どれも素材そのものの味がして、
とても美味しい。
お仕事して、疲れているでしょうに、
ありがとうね?」

「いえいえ。
フレックスタイムなので、
3時半までの勤務時間ですから、
大丈夫ですよ」

「翔吾さんが帰宅するのも待ってるでしょう?
寝不足になってしまうわね?」

「でも、社長が帰って来た時に誰もお迎えがないなんて…
淋しいですよね?」

「まだ、社長って呼んでいるの?」と、
クスクス笑われてしまい、
紅くなってしまう。

「会社でうっかり、
お名前で呼んでしまうといけないので…」

「早く発表しちゃえば良いのに」

「来週、役員の方には発表すると仰ってました」

「2人の時は、なんて呼んでいるの?」

「…翔吾さん…です」

「家の中では、そう呼んであげて?
きっと、社長って呼ばれてるの、
淋しいと思うわ」と笑った。



社長と相談して、
1階のバスルームはお母様と古川さんに使っていただき、
社長とケンと私は、2階のを使うことにした。

気を遣わせてしまってもいけないからと考えてのことだった。

そして、夜遅くに帰宅した金曜の夜、
「翔吾さん、一緒に入っても良いですか?」と声を掛けて、
私から手を引いてバスルームに向かった。

薔薇の香りの入浴剤を入れて、
キャンドルを灯して…。


「これ、ロマンティックじゃないですか?」と言うと、

「んー。
ロマンティックだけどさ。
階下に親が居ると思うと、
流石にここでは…。
声とか、響いちゃうぞ?」と笑った。

「確かにそうですよね?
勇気を振り絞って、
一緒に入ってみたんですけど…」

「でもキスはしたい。
身体も洗ってあげるよ?」

「とんでもないです。
私がお背中、流します。
社…翔吾さん、お疲れなんですから」

「もっと、名前、呼んで?」

「翔吾さん…んっ…」

キスで唇を塞がれてしまう。

「身体中、洗いたいな?
ダメ?
それで、俺も洗って?」



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