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フレックスタイム
第6章 婚約、そして初めての夜
お庭でサッカーをしたいと言うので、
運動音痴な私はケンの相手を翔吾さんに任せて、
「お洗濯してくるわね?」と言って2階に上がった。

メインの寝室のシーツ類と、
昨夜2人で過ごした私の部屋のシーツ類を洗濯機に入れて、
洗い立てのものに交換して、
部屋の空気を入れ替えた。

私の部屋のリフォーム、
気に入って貰えて良かったと思った。
こちらの小さいバスルームにも、
シャンプー類やタオルを置くようにしようと思い、
少し整理をした。


お裁縫道具のカゴと図案集を手に、
テラスに戻ると、
2人とも汗だくになっていたので、
キッチンで自家製のレモネードをたっぷり用意してガラスのポットやグラスをトレイに載せて、
更に氷水で濡らしてから絞った冷たいおしぼりとフェイスタオルを持って引き返した。


「ちょっと一休みしたら?」と声を掛けると競争するように走ってくると、
2人で汗を拭いてから、冷たいおしぼりで顔や首を拭いて、
レモネードをゴクゴク飲んだ。


お母様も顔を出したので、
「冷たいレモネード、
いかがですか?」と誘い、
テラスでのんびりした。


ケンに、
「どの模様が好き?」と訊いて、
クロスステッチの図案から好きなものを選んで貰って、
フェイスタオルと小振りなバスタオルにワンポイント刺繍をしながら過ごした。
幼稚園のプール用のものの準備にと思った。

「百合さん、何でも出来るのね?」とお母様に言われたので、

「運動はダメなんです。
泳げないですし…。
テニスは学生時代しましたけど、
何年もやっていません」と答えた。


「でも、ケンが幼稚園で水泳があるって、
この前、お知らせに書いてあったから…
私も水泳、練習してみようかなって思ってます」


…子供と私をプールに突き落とされた時のことが脳裏に浮かんで、
少し震えてしまう。

でも…
そんな状況になったら…
今度は私が泳いで、
ケンを救うと思っていた。


翔吾さんは、私の手を握って、
「百合、泳げなくても良いよ?
俺が泳げるから、
なんかあったら、2人を担いで泳ぐよ」と言った。


「今度、幼稚園でプールに入るんだって?
僕、怖くないよ?
お風呂みたいなやつでしょ?」とケンが笑う。


「明日、水着も買わないと、
持ってないよな。
俺も買おうかな?」と、翔吾さんも笑った。
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