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そぶりをやめて
第12章 200日
名残惜しそうに、重なっていた唇が離れてゆく。

「寝なきゃ」
「うん」

そう言いながらも、ねっとりとした唇が触れる。

軽く交わすキスになったものの、どちらもが止める気配がない。


絡まった脚や、優しく触れる手が、気持ちよくて。

布団の中、体を擦り寄せてしまう。

こんな2人くっついて眠るなら、ダブルの掛け布団にすればよかった。

疲れて重い体が、今にも眠りに吸い込まれそう。

顔のあたりを撫でる佳佑の手に、顔を擦り寄せる。



また佳佑が、静かに笑った気がした。

「...何?」
「え。いや、可愛いな、って思って」

うそ。そんな笑い方だった?

おでこがくっつくほど近いキョリで、よくそんな嘘が。

「嘘じゃないよ」

思ったことが分かったのか。

また優しく唇が重なる。

「猫みたいで、可愛い」

...猫、かぁ。

なら、いいか。


安心して、そのまま、すーっと眠りに引き込まれた。

なんかまだ佳佑の声がするようなー。







「汐里。汐里、起きて」
「え、もう朝?出かける時間?」

ぐっすり眠っていて、目覚ましの音に気づかなかった。
慌てて体を起こす。

「シャワー一緒に浴びるって約束したじゃん?」

?そんな約束した??

「ほら、ぼーっとしてないで。シーツも洗うし」

テキパキとシーツなどを剥ぐ横で、ぼうっと立ってしまう。

え?今何時??

リビングの時計を覗くと、汐里的にはまだ起きる時間じゃない。

休みの日ならともかく、平日にこんな時間ー。

「はい。持ってー」

剥がされたシーツやカバーが、次々と汐里の裸にかけられる。

「はい。行くよ」

朝から元気な佳佑に連れられて、お風呂場へ移動する。

洗濯機にそれらを放り込んでスイッチを押すと、汐里の体を引っ張って、2人でシャワーを浴びる。

各自、自分の顔や体を洗う。
そうしてると、少しずつ、目が覚めてきた。

「...約束した、覚えがないんだけど」
「そう?」

寝入る時に何か言ってたのは、これだったのか。

普段から、佳佑はお風呂に一緒に入りたがるけど。
ゆっくりしたいから、汐里は断りがちなのだ。

絶対、確信犯。

「えー?返事してたけどなぁ」
「うっそ。なんて?」

確かに、体がベトベトだし。すっきりするけど。
2人で洗い場に立つとそこそこ狭い。
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