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そぶりをやめて
第16章 180日
どのくらい眠っていただろう。
ふと目が覚める。

幾分かスッキリはしてきたが、まだお酒は残ってるカンジ。
水を飲んだら、きっともっとスッキリするはず。
トイレにも行きたい。

寝室は、最低限の灯りしかない。
頭の近くにある棚の定位置を探って、スマホを手にする。

2:15。

眠りについた時間はハッキリしないが、だいたい3時間ぐらい眠っていただろうか。


そのほのかな灯りで、ベッドから起き上がる。
流石にこの時間は、汐里も眠っている。
そっとベッドから這い出て、リビングに向かう。

トイレを済ませ、キッチンに移動する。
冷蔵庫から水を取り出し、コップに注ぐ。
2リットルの容器がやけに重く感じる。

こんなとき、ウォーターサーバーがあったなら...。

「大丈夫?」

暗闇から急に声がした。

「!...びびった!!」

他でもない汐里だ。
しかし、まさか起きてくるとは思わなかった。

心臓に悪い。
まだバクバクいってる。

「吐いたの?」

「してないしてない。喉乾いただけ」

溢れそうなコップに口をつけ、半分ほど一気に飲む。

確かに、帰った当初は、飲みすぎと車の揺れで限界に近かったけど。
今は、随分と落ち着いてきた。

明日までにはなんとか落ち着きたい。

「胃薬とか飲む?」
「あー。飲んどいた方がいいかなぁ」

汐里が食料品ストックの中から、液状タイプの胃薬を差し出してくれる。

受け取って、なんとか飲み干した。

「うー。マズい」

独特の匂いがあまり好きではない。
けど、今日は仕方ない。

「はい。じゃ、寝ましょ」

汐里に連れられて、ベッドに舞い戻る。

いつもならこんな引っ張られてベッドにー、なんて超嬉しいけど。
今日は、なんとも情けない。

布団を掛けられ、横になる。

甲斐甲斐しく、お世話をしてくれるので、ちょっと調子に乗ってみる。

「...ぎゅうっとしてくれてないと、眠れないかも」

出来れば、おっぱいに挟まれて眠りにつきたい。


「はいはい。んなこと言えるんなら、もう大丈夫だわ。おやすみー」


ぽんぽんっと布団を叩いて、汐里が自分の布団に戻って行った。


ちぇー。作戦失敗。





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