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そぶりをやめて
第21章 288日
「えー。ちょっと、お腹見せてよ〜!」

パソコンの画面越しに、しろべぇにそう言われて、仕方なく立ち上がる。

1年ぶりに、Zoomで同窓会だ。
前回より人数が減ってしまったが、それでも10数人が参加している。

横で佳佑がパソコンを持ち上げ、角度をつけて汐里のお腹を映す。
部屋着のスエット生地のワンピースは妊婦用とかでは無いので、少し生地を引っ張ってお腹の形を浮き立たせる。

「結構出てない?」
「やぁだぁ〜!!しろべぇと変わんないよー!」
「え、何ヶ月って?」

「だから、もう妊娠中期っていうの?になるんだよね」

予約して産婦人科に行った時には、既に5ヶ月経っていて。
そんな前から妊娠してるとは、本当に思ってなかった。

「じゃ、ウチらが“ハンバーグ道”に行った時ってー」
「...3ヶ月にはなってたかも」
「マジで!?」「分かんなかったわ!」

あの時妊娠報告をしたしろべぇと、たいして出産予定日が変わらない。

仕事のバタバタとつわり期が重なって。
生理が少し不順になってると思ってたし。
ちょっと出血があったりなんかして。
なおかつ、つわりがほとんどなかったようで。

担当の医師も驚き、呆れていた。


そんな割には、すくすくお腹の子は成長していて。

汐里の食欲も凄まじく、今や誰が見てもわかる妊婦になった。

安定期がどうのと言う前に、正月の挨拶に両家にそれぞれ顔出しした時にも、すぐバレてしまった。

何より佳佑が、過保護、というのだろうか、異様に気を回して動き回っていた。
実家の玄関だってのに「汐里、段差気をつけて」と誘導したり。
玄関先で挨拶するだけなのに「汐里、ほら、座布団とひざ掛けも。で、ここに座って」とか。
出されたお茶を「カフェインは、良くないから」と取り上げたり。
などなどで、バレバレだったのだが。

楽天家の汐里が大丈夫だと言うのに、佳佑が何かあってはと心配しまくってる。
度々喧嘩になるほど。

「あら〜。気をつけてよ〜。ウチの元ダンナは、私の妊娠中にヤラカシたからねぇ」

れいちゃんは、妊娠中に元旦那の浮気が発覚し。
壮絶な修羅場を経て、シングルマザーなのだ。

「だってよ」「んなのしねぇよ」
「そうよ〜。縁起でもない〜」「ほんっと、気をつけてよ〜」
「あははは」「笑えないわぁ」

画面の向こうの女性陣が賑やかだ。
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