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そぶりをやめて
第10章 160日 〜その2〜
「ちょっと、声が大きいって」
「そうだった。でも熱かったー」

こそこそと小さい声で話す。
炎がついたのが、夜9時だった。
もう10時が近いハズだ。

炎のある広場から少し見上げる50メートルほど先に、1番近いテントがあって。
そこが中心となって、両側に10ばかりが川上に向かって少しづつ高さを出しながら並んでいる。
明かりのついているテントもあるが、すっかり暗くなっているテントもある。
昼間に小さい子もウロウロしてたし、起こしたらいけない。

「焼き加減、このぐらい?...あっつ!」
「ほら、俺の事言えないじゃん〜」

ふーふーと息をふきかけながら少しづつ食べる。
外側は少しづつコゲてカリッとして、内側がとろりとした食感。
そして、熱せられた甘いマシュマロの味がなんとも言えない。

「うんま!熱いけど、美味しい」
「マシュマロってこんな味だっけ。なんか、別物みたい」

絶賛して食べるが、1個食べると充分な満足感があり、2個目に手が伸びない。
夕食のバーベキューを沢山食べすぎたというのもある。

「腹いっぱい〜」「ほんとそれ〜」

マシュマロを食べ終えると、満たされた感が万歳だ。

「帰ろっか」「だな。手がベタベタするし」

ひざ掛けや座布団、そしてマシュマロの残りや木の枝など、ひと荷物持って、テントに戻る。

木製の階段を何段か上がると、テントごとの広めのウッドデッキに到達する。

小さな炊事場があり、タープとキャンプ用のテーブルやイスがならんでいるバーベキューエリアがあって。
その少し奥にテントが据えてある。

各テントごとに、ウッドデッキは別れているし、隣との間には仕切りもあって、これならコロナ禍でも安心して泊まれる造りだ。

手を洗って、玉ねぎ型のテントに入る。

テントと言っても、広さは10畳近くあると思われる。
真ん中に柱があって、そこに向かってカーブを描いて高くなっている。
端の方は、少し腰をかがめないといけないが、中心付近は充分立って歩ける高さがある。

設備も、コテージ並みに充実している。
大きなクイーンサイズのベッド。
おそらく、人数次第でベッドに変化する、大きめソファ。
そのソファ用のテーブル。
冷蔵庫に、簡易クーラー。扇風機に、大きめの衣装用の棚。
入口付近には、小さい下駄箱や、荷物用の棚。
ベッドの付近にも棚と、間接照明。
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