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蒼い月光
第12章 朱里の誠の敵討ち

「けっ!!面倒かけやがって・・・
仲間が2人も減っちまったじゃねえか」

ブツブツ言いながら

「どれ、お宝を拝ませていただくか」と
柩の蓋を跳ね上げた。

そこには腐りかけの朱里の骸が横たえられていた。


「なんだ~~?ほんとに棺桶だったのかよ!」

やってらんねえぜ、と言いながら
大八車ごと柩を谷底へ蹴落とした。

「おい!!そのくたばった奴も
谷底へ落としちまえ!!」

頭の命令で部下の男たちが
ウズメと疾風の亡骸を谷底へ投げ込んだ。



事の一部始終を朱里の意識は見ていた。
やがて谷底から光の帯が2本、
天に向かって伸びていく。

その光の橋をウズメと疾風が昇ってゆく・・・・

ウズメと疾風は生まれたばかりの魂なので
生きていた時の姿をしていた。

意識だけの姿となった朱里をウズメが見つけた。

『一緒に行こう・・・』

手を差し伸べてくれたが、
朱里の怒りの意識は
地上に留まることを選択した。




白い霞がサーっと晴れてゆく・・・・

「そいつが朱理が討ちたい相手・・・」

握りしめていた千代の手のひらが
ジットリ汗ばんでいる。

そいつを私が討てるのか?
あまりにも強敵すぎる・・・
相手は徒党を組んで
喧嘩争いを生業(なりわい)としているのだ。


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