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蒼い月光
第8章 戦を仕掛ける

しばらくは何事もなく平穏な日々が続いたが
ある年に訪れた大飢饉で貞虎の心が動いた。

「朱里・・・隣国に攻め入ろうと考えているのだが・・」

貞虎は朱理を心底信頼していた。

老中にも打ち明けていない心の内を
ポツリと朱里に漏らした。

3日に1度は、始めて二人が結ばれた草原で
愛を確かめ合っていた。

注ぎ込まれて流れ出してきた精を
懐紙で拭いながら貞虎の言葉を聞いた朱里は 思わず陰戸を拭っていた手を止めた。

「隣国でございますか・・・・」

隣国は大国だった。
とても歯が立たないだろう。

「無謀なのはわかっておる・・・
だが、このままでは城下の民が・・・
儂(わし)は、あの者たちが苦しむ様を、
もう見たくないのだ・・・
幸いにも隣国は地下水脈があるらしく、
飢饉とは無縁らしいのだ・・・」


『平和条約を・・・』

言葉にしかけて朱里は口をつぐんだ・・・

欲しいものは力で奪うもの、
助け合うという心がない時代だということを理解していた。

「私は・・・・どこまでも殿について参ります・・・」

「こうして睦み合うのも、今日が最後かもしれぬ・・・
もう一度・・もう一度、お前の体を儂(わし)のへのこに覚えさせておきたい・・・」

そう言って、まだ精が流れ落ちる陰戸に
太いへのこを突き刺してきた。


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