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揉ませていただきます
第6章 男性編 客は女だけとは限らない

「一体どういうことなの?説明して頂戴」

女将の険しい目が健斗を射貫いた。


男の部屋を一目散で飛び出したのはいいが、
ズボンとパンツを剥ぎ取られていたので
健斗は下半身丸出しの状態だった。


そこに出くわしたのが女将だった。


「運よく別のお客様の所へ
バスタオルの替えを持って行くところだったから
慌ててあなたの下半身を包み隠したけど、
もし、私が何も持っていなかったら…
ううん、それ以上に
下半身丸出しのあなたが
他のお客様に見られたらどうなっていたことか…」


本当に女将がバスタオルを持っていたのは
不幸中の幸いだった。

健斗は体を小さく丸めながら
客の男との経緯を話し始めた。



「まあ!そんなことが…」

若い仲居が泥酔客に尻を触られたり、
口説かれたりしたときの対処法は心得ていたが、
まさか男性従業員が男の客に言い寄られるなんて
初めての事なので、
健斗になんて言ってあげればいいのか困った。


「なんにせよ、下半身丸出しで
廊下に飛び出したのはまずかったわね…」

そうこうしているうちに
当の男性客から苦情の電話がカウンターに入った。

「女将さん、マッサージを依頼されたお客様から
すごい剣幕で苦情が来てます…」

どうしましょ?と
額から脂汗を流しながら
困り果てた顔で番頭さんが
女将さんに報告にやって来た。

「私が対処します」

女将は意を決すると
苦情がでた男性客の部屋へ出向いた。

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