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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第13章 It's all right. 2
「沙織ちゃん、なに飲む?」

あったかいおしぼりで手を拭きながら、

テーブルの向かいに座る沙織ちゃんに声を掛ける。

今日は平日ということもあって、割と客が入っているが比較的空いている

隣り合っていられるカウンターに座ることも出来たが、

二人だけの空間が保てる個室にした。

「あったかいお茶がいいな。」

おしぼりでゆっくり手を温めながらそう言う。

飲めない子なのかな。

「うん?お茶は普通に貰えばいいよ。お酒は飲めないの?」

えへへ、と困ったように笑い

「飲めるんだけどね。レイに止められてて。」

「レイに?どうして?」

お酒を飲むと、もしかして沙織ちゃん変わっちゃうの?

レイが止めるくらいなら、もしかして沙織ちゃん変身しちゃう?

「日本じゃ、お酒はハタチからなんでしょう?私まだ20歳じゃないから。」

え!そうなの?

「え?そうなの?いつ?お誕生日。」

あ、もうてっきり20歳なんだと思ってたよ。

初の沙織ちゃんとの食事なのに一緒に飲めないだなんて

「1月なんです」

あぁ、残念。でもこれはチャンス。

「そうなんだ。あ、じゃあさ。

 晴れてハタチになったらまた俺と飲みに行こ?ホントなら何を飲むの?」

ホントなら?と困ったように笑う。

だよね、飲んじゃいけない年齢の子が飲めるもの言っちゃダメだよね。

「何でも。」

「何でも?」

声のトーンをわざと落としてそういう彼女にドキドキしている。

「中でも一番好きなのは?」

う~んと小首を傾げる。

「日本酒、かな。」

おおお。日本酒と来たか。かなりいけるクチだな。と思っていたら

「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」

といきなり言われ、ビックリする。
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