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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第16章 Winter has come.
以前貰っていたこの生地の会社。

名刺を探し出し書かれてある携帯の電話してみると、

今ウチを出たばかりの本人に繋がる。

自社に戻るところだったということだったので、

すぐにでも会社に訪問させていただきたいと伝えると二つ返事で、

ウチの前まで戻って来てくれるとのことだった。


布地メーカー『山際』の社用車に揺られどれくらい経っただろう。

あたりは見事なまでの田園風景だった。

「朝比奈社長、びっくりされたでしょう、あんまりの田舎っぷりに。」

運転してくれているのは70少し前といったところか、

職人気質だが目元の深い皺で人となりがわかるような男性だった。

「キレイな景色ですよ。古き良き日本もありながら、それに融合した近代のものもある。」

稲刈りが終わった田んぼから、わら屑等を燃やした煙が所々で上がっている。

「そう言って頂けるとありがたい限りです。」

と笑い。

あの山、と目前の山を指す。

あの山は代々山際氏が継いでいるのだという。

「今回のこの生地もあの山あってこそなのです。」

と言い、着きましたよと小さな工場前に車を停める。

「とある木がございましてね。」

木の名前は言えないが、この山にだけ自生するものだという。

よく名の通った木と全く見た目は同じなのだが、

この里の名人たちだけが見抜けるものだそうで。

そして過疎化と高齢化の進むこの地の人とこの文化を絶えさせないため

生地メーカーとして会社を立ち上げたのだそうだ。

冬がやってきて、寒い晴れた朝にその木の枝の皮を剥いで、

この地に伝わった門外不出の製法で作る生地なのだという。

この山の神社に奉納される布の製法に、

改良に改良を重ねたのだというものを持って来てくれたのだ。

「おや、珍しい。お客様かね。」

腰が曲がった老女が工場の事務所から出てくる。

「母さん。」

どうやら、山際社長のお母様らしい。

かすりの着物にモンペという田舎の野良仕事をしている老女

と言った感じの格好をしておられる。

畑仕事をしていましたと言われれば疑ったりもしないだろう。

工場内の見学をさせてもらったあと、事務所に通され話をする。


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