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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第20章 Let's party at the bar

「Ladies and gentlemen!

 ようこそ“cherry blossom”へ!

 今宵は、クリスマススペシャルと致しまして、

 我が店の秘蔵っ子歌姫のステージをお届け致します!」

スポットライトを浴びた司会者がそう高らかに宣言し

そのスポットライトが消え。

ステージのライトがまばゆくステージ上を照らし出し

ドラム、ウッドベース、ピアノ、ギター。アルトとテナーサックス奏者。

トランペットとトロンボーン奏者。コーラスであろう4名。


そして、その真ん中に立つ歌姫。


まさか。
そんな。


「これ、有名なジャズのスタンダードナンバーだよね。クリスマスの」

唖然としながら個室でステージを見ながら呟く女の子の横で、

同様に男の子が聖者のなんとかって、ヤツだよな。

すげぇ、あいつあんな声で歌うんだ……と呟く。

みな、そろそろ始まる時間よと、

おねえさまたちから声を掛けられながらもシャンパングラスを傾けていたのだが。

歌の第一声が上がった瞬間、全員がグラスを持ったまま固まった。

時折、ゴクリと唾をのむ音だけがするだけ。

みな瞬きすら忘れているようだ。

その1曲目が終わってステージの照明が暗転した時、

立ったまま釘付けだった者はソファや床に力が抜けたように座りこんでしまった。




2曲目。

この歌、今の私なら。

以前歌った時はこの歌詞の表面上だけの意味でしか歌えなくって、後悔した。

だって私が知らない感情だったもの。

でも、今なら。

今の私ならきっと歌詞の通り表現して、歌える。

恋い焦がれて、乞い求める心を相手に訴えるこの歌。

マイクスタンドに両手を添え、息を一つ合図をする。

ゆっくりとスポットライトが細く私を照らしてゆく。

静かにドラムがリズムを刻み始め、サックスの音が切ない音色を奏でる。

JAZZ風にアレンジされた、80年代のアメリカの歌姫のナンバー。

目を瞑り、ゆっくり歌い上げる。

瞼の奥に、乱れた前髪から水滴を滴らせる彼の顔が浮かぶ。

本当に恋に落ちるのは一瞬だった。

あの時の感情があるから。歌える。
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