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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第20章 Let's party at the bar
感じませんか、じっと見ているわたしの視線を

あなたは、とても近い 

でも、未だわたしたちの世界は離れたまま。


目を開け、客席の方に視線をやると。

え?桜井さん?

呆然とした表情だったけど、目があった途端我に返ったようだった。

来てくれてたんだ。



伝えたくて、たまらない。

あなたに、夢中なの。

こんなにも夢中なの。


と最初のサビの部分を、

表情と今の私の感情を重ねて歌う。


間奏に入り、もう一度客席を見る。

桜井さんが、何やら伝えようとしてる?

彼が指し示す方に視線を彷徨わせていると。

ドクン。

心臓が跳ね上がる。

どうして、ここに、朝比奈さんが?

彼を思いながら歌っているせいで、幻を見ているの?



この心を精一杯抑えながら、あなたの元へ歩いてゆく。

見つめあう二人に言葉も何も、必要はないわ。

あなたに、私の心が読めるなら理解してくれるでしょう?


私が見ている彼の幻でもいい。

彼に私の心を想いを伝えたい、そう想い彼の方に片手を追い求めるように差し伸べて

もう一度サビの歌詞を歌う。

どうか、彼に伝わりますようにと。



私は夢中なの、あなたにこんなにも夢中なの。狂おしいほどに、と。

追うように差し伸べていた手の手のひらを客席の方に向け。

ゆっくりと胸元に持っていく。

すずらんのチャームが手に触れ、心が震える。

あの人が恋しいと。


目を瞑ると涙が零れた。
I'm crazy, crazy for youと呟く。



もう一度目を開け

彼を見つめ

crazy for youと呟く。



ピアノとサックスの優しくも切ない音で曲が締め括られていった。












ステージが暗転したので後ろを向き、慌てて涙をぬぐう。

バンドメンバーが視線で大丈夫?と問いかけてくるので、

隠すように用意されていた水を一口飲み。

大丈夫とサインを送る。


ドラマーのカウントの後、3曲目の華やかな音が奏でられ始めた。



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