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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第23章 Be Still My Beating Heart
パパの家について、玄関のカギを開けるのももどかしくて。

カギを開け、足早に部屋に戻る。

途中リビングにいた、パパが何か言ってる声がしたが、

生返事を返しただけのような気がする。

もう、今他の事一切考えられない。


『レイ、今大丈夫?』

早く。早く。

ピロン♪

『大丈夫よ。どうしたの?』

即座に電話をする。

RRRRRRR

『どうしたの?』
「レイ、原稿はどうなった?」

挨拶の言葉も抜きにいきなり本題をぶつけていく。

『良かったわよアレ。早速編集長に見せたら』

「あれ、もう編集長に見せたの?」

『何?見せたわよ。物凄く、ビックリしてたわ。いい、早速本にしようって。』

うんと心を落ち着かせるように、レイの言葉を深呼吸しながら聞いていた。

「レイ、あれはダメ。」

え?どうして。いい出来だったわよ。

作風がガラリと変わってたから最初は戸惑ったけど。

最後まで一気に読み切っちゃたもの。

編集長も大絶賛だったわ。“夕凪”が化けたって。

いいえ、違うの。

「レイ、あれは今すぐ止めて。」

私の口調に何かを悟った、レイ。

サオリ、何があったの?と電話の向こうのレイの声が変わった。

あれは、あんなのは嘘っぱちよ。

登場人物、生きてない。

みんなただの傀儡よ。

書いた私が心込めてないまんまなんだもの。

嘘ばっかりのきれいごとなんだもの。

表面上の言葉で飾ってるだけだもの。

あんなもの、世に出したくない。

お願い、今すぐ、今すぐ止めて。

書き直したい。書き直したいの。

あの子たちに命を吹き込んでやりたいの。

泣きながら一気にまくし立てた。

あんなもの、誰の心にも届かない。残らない。

映画の本もそう、あんなの。あんなの!

ここまで言って、後は涙で声が詰まって続けられなかった。

電話の向こうで、私がまくし立てた言葉を

黙って聞いていたレイが発してくれる言葉を待つ。

「わかった。」

その言葉を聞いて、安心したのか声を上げて泣いてしまった。

電話の向こうのレイの声が少し笑う。

作者のあなたがそう言うならそうなのね。

編集長には今すぐ連絡するから。待ってて?

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