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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第1章 1 PROLOGUE
「ねぇ、もう行くの?」

情事終わりの気怠い雰囲気を纏いベットに横たわる女が、

何事もなかったように身支度する男の後ろ姿に声をかける。

シャツの手首のボタンを留めながらチラッと視線を寄越す。

「お前は、やっぱり今シーズンでウチの専属モデルは終えてもらう。」

視線を手元に戻しながら、そう言い放つ。

「そんなっ!どうしてっ!」

気怠い雰囲気もぶっ飛んだようにガバと起き上がり

悲鳴のような声を上げる。

「ちゃんとイったじゃない!あなただって、感じていたでしょうっ!」

フッと鼻で笑いネクタイを締める男。

「お前だけが、楽しんだんだ。俺はイっちゃいない。」

「嘘よっ!そんな訳!」「お前程度の女じゃあ、俺がイけはしない。」

女の金切り声を遮るようにそう言い捨てると、

ジャケットを羽織り姿見の前で身なりを整える。

「今シーズンは始まったばかりだ。お前だけがイったとはいえ、

俺と寝るとこまで行けたんだ。後はお前次第でどうにでも転んでいく。」

身なりを整え終えた男は、すっかり打ちのめされて

床に座り込んでいる裸のままの女に声をかける。

「うちではもういい、ってことだけで他所でならまだ充分やっていけるだろ。」

女の啜り泣きが聞こえ始める。

男は心底嫌そうに眉間に皺を寄せ、きれいな銀縁の眼鏡をかける。

「こういうのは、ルール違反だ。」

女は顔を手で覆い嗚咽を漏らすまいと息を堪える。

その女の姿を一瞥し男は颯爽と部屋を出て行った。
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