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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第27章 Winter songs
さあ、どう出る。

「動画、見たか。」

絞り出すような低い声だった。

来たね。

「ええ、もちろん。」

こちらも最小限度の答えしか返さない。

深い長いため息が漏れる。

「空港に何名か週刊誌の記者がいた。」

だろうね。

社長だってモデル界に身を置いていた男だ。

それに、動画再生数・コメント数は未だにグングン伸びている。

下手な日本の芸能界のタレントや俳優女優追っかけるより話題性はある。

しかも天下のASAHINAの社長だ。

「そうですか。何かコメントされたんですか?」

体勢はそのまま、力なく首を振るだけだった。

「ただ、彼女がウチのネックレスをしているのを目ざとく見つけたものがいて。

 そこを突っ込んできたのがしつこかった。」

ああ、すずらんのチャームのネックレスね。

あれは本当に人気で品薄だからなぁ。

あの動画を見て、気付いた人たちからの問い合わせだったのか。

ここ連日のあのネックレスの次回入荷の問い合わせ電話は。

思わぬ棚ぼただな。

まぁ、沙織ちゃんの素性を明かせない今、社長が何かを語ることはできないわな。

だったらASAHINAの製品を彼女が身に着けていたなら。

そこから切り込んできて、社長から何かを語らせたかったんだろう。

ふむ。

で?

「社長は無言を貫いた訳ですね。」

ああ、と短い返事が返ってきてまた長い沈黙が続く。

んん?

いつもの俺様社長なら。

ここまで長い沈黙を許すか?

しょうがない。

「沙織ちゃんとはあのダンスの後、連絡は取ってないんですか?」

ない、と肯定するように頷く。

はぁ?

「まさか、とは思いますが。沙織ちゃんの連絡先知らないんですか?」

またもや知らないと肯定するように頷く。

頭がクラクラしてきた。

何なんだよ、もう!最近の幼稚園児以下じゃねぇか!

呆れてしまって、言葉が出なくて口をパクパクしちまったじゃねぇか!

「じゃあ、あのダンスし終わった後に彼女とは何もなかったって言うんですか?」

いや、と低い声で呟き。

その後の事の顛末を話されたが。

……………え?それだけ?

もう、あんぐり開いてしまった口が塞がらねぇ。

「桜井、俺は今まで疑似恋愛しかしてこなかったようだな。」



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