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TRUE COLORS ~PURPLE~
第28章 New Year
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パパとお兄ちゃんと、チャリティーパーティー会場に着くと。
先に到着していた結城君がやってきて、パパとお兄ちゃんに挨拶してきた。
結城君、基本人見知りで無愛想で。
あまり自分からは声を掛けたりしないのだけれど。
パパやお兄ちゃんとは“children”で何度も会って、仲良くなっていたようで。
それと、彼もちょっとは大人になったってとこかしら。
だって、結城君がパパたちに挨拶している中でも他の方々も声を掛けて来ても。
昔なら露骨に嫌な顔していたけど、今日は終始にこやかだもの。
そのくせ。
パパとお兄ちゃんと話が終わって、
私に仕事の依頼の話があるので少し私を借りますと断り入れたら豹変するんだもの。
私の腕を力いっぱい掴み、ラウンジの方に引きずるように引っ張って行く。
「痛いってばッ!結城君!!」
ラウンジ通り過ぎて、カフェの前でようやく掴んでいた腕を離してくれたので
抗議の声を上げるとフンと鼻で笑う。
「間抜け女が、偉そうに。」
なによ、間抜け間抜けって!
掴まれていたところが痛くってさすりながら、睨んでやるけど。
そんな視線なんてお構いなしで、さっさとカフェに入っていく。
「腹減ったし、なんか飲みたい。行くぞ。」
「ええ?パーティーあるのに?」
「あんなとこで何喰っても何飲んでも、味分かんねぇよ。
飯は一人か好きな奴としか、喰わねぇ。」
そう言い捨て、スタスタ先に進んでいってしまうので仕方なく後を追う。
席に着き、オーダーを済ませると。
ギロリと結城君が私を睨みつける。
「全く間抜けな奴だよ。俺の仕事の前に、妙な噂たててんじゃねぇよ。」
そう、彼は変わり者の偏屈変態野郎だけれど。
一応若きイケメン天才ショコラティエ。
チョコレートフェスティバルでは注目株。
世界各国メディアも大半は彼目当てで押し寄せる。
動画再生数、世界一になってしまった私が側で通訳って、
結城君にしてみたら困るわよね。
いや、面白くないわよね。彼の場合。
「迷惑料として。ここ、お前の奢りな。」
そんなのはいいんだけど。
怒ってるように見せかけながら、その、ニヤニヤした笑顔は何なの?
まだ、なんか企んでるわね?
結城君、興味があることにはとことんだもんね。
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