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第30章 In paris

年越し、久々のパパとお兄ちゃん(結城君もいたけど)とだったのに。

あの後まりかちゃんや大学のお友達からのラインなんかで、

プチパニックだった私は、どう過ごしたかあんまり覚えていない。

まりかちゃんたちからのラインの内容から、

チャイナタウンでの出来事の写真と動画は一般の人達からの投稿もあるが。

日本のスクープ誌からのものがあったそう。

まりかちゃん曰く、

私が身に着けていたすずらんのチャームがASAHINAの製品であることに

目を付けた記者が、帰国した朝比奈さんにも接触を図って来たそうだ。

朝比奈さんは無言を貫いたそうだが。

それをスクープ誌が記事にしたものだから、

今、ASAHINAのすずらんシリーズのアクセは今まで以上に

人気が爆上がり中なのだそうだ。

スクープ誌がＵＰしている動画は偶然撮ったものではなく、

絶対狙って撮ったものだと思われるくらい見事に撮られていると。


「ならば、私も丁度パリに行く予定がある。一緒に乗って行きなさい。」

パパの会社関連のニューイヤーパーティーに同行していた時に。

来賓でお見えになっていたジョンソン氏に結城君とご挨拶させて頂いた。

結城君がパリに私と仕事でいく旨を話したら、そう言って下さって今に至っているのだ。


気分を変えようとペリエをもらって飲んでいると。

「結城君。」

私たちが座っている席より少し前の広々とした席に座って、

例のチャイナタウンの出来事を載せているスクープ誌を読んでいる

ジョンソン氏が結城君に声を掛ける。

「なんでしょう？」

「この記者とは知り合いだったの？」

「あ、こいつ、いつもはこういうの書かないヤツなんですけどね。」

あああああ！やっぱり！

結城君が席を立ち、ジョンソン氏の席に向かう。

「フリーのライターで、ちょうどこっちに来てて。」

過去チョコ博でも何度か結城君に取材を申し込んできていて、

警戒心が強い結城君に粘り強く交渉を重ねて来るその対応が気に入り。

結城君の牧場巡りやカカオ農園巡りなんかにも、

何度か同行させたりしていた記者なのだそうだ。