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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第9章 Lily of the valley
熱いシャワーを頭から豪快に浴びる。

久々の連日の徹夜は、この歳になると流石に堪える。


ダメだと思っていたが。

映画の原作となったという彼女の書籍をあの後読んでみた。

読み進めていくうちに、

俺の中であの日このシャワールームで彼女が見せた表情と

泣き叫ぶ声が物語の内容と幾度となく重なり。

抱きすくめた彼女の肌の質感と感触も思い出され。

何とも言えぬ感情が沸き上がり、気が付くとペンを取っていた。

夢中でデザイン画を何枚も何枚も描いていた。

描き上げたデザイン画を見て、自分でも愕然とするような出来だった。


熱い湯気に煙草と男臭い汗の匂いが混じる。

我ながらオッサン臭そのままだなと思う。

「オー ドゥ ナルシス ブルー ですか?」

何故か、先日俺にそう言った彼女の声と姿が思い出される。

フと自嘲気味に笑い、その残像を洗い流すように全身を隈なく洗っていく。

頬に触れると、無精髭のような手触りに顔をしかめる。

ここのシェーバー嫌いなんだがな。仕方ない。




身支度を整え、桜井のオフィスに戻る。

なんだ?この雰囲気。

テーブルに所狭しと並べられたデザイン画を前に

押し黙っていた3人が、一斉にこちらに視線を向けてくる。

部屋の空気が一転する。

「朝比奈、あんたやっぱり天才よ!最高よ!アイシテル~!!」

レイがガバッと立ち上がり飛びついてくる。

切れ味の悪いシェーバーのせいでヒリヒリしている頬に

グイグイと頬ずりまでしてくる。

やめろ。痛い。

「だろ?」

ぎゅうぎゅうとハグし続けるレイを引き剥がし、ニヤッと笑って見せる。

「完敗です、社長。」

潤んだ目で俺の手を取り固く握手してくる桜井。

悪かったな、桜井。

気弱になり逃げようとした俺を心底軽蔑し、落胆し、嘆いただろう。

だが、もう大丈夫だ。

一人、ソファに座り微笑む彼女を見ると。

何故か胸の奥底がざわつくのが気になるが…………。

レイと“夕凪”と桜井で俺のデザイン画をああだこうだと

喧しく言いながら話している間に、

俺は俺用に運んでもらったコーヒーを飲みながら

ウチのデザイナーたちの描いたものを見ていく。

そんな俺の様を隣に座る桜井が時折チラチラと見る。

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