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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第11章 “cherry blossom”
「心配しないで、他のお客様には女子大生が歌ってくれるわよとだけ言うから。」

生バンドも用意していると言う。

こういうお酒を提供し、きちんとした大人が集うお店では

JAZZを歌うというのも知っているという訳ね。

何も繁盛させろって言ってる訳ではないわ。

ウチはこう見えても十分儲かってますからね。

と言い、お客が各々の席で楽しんでおり、満席だし。

卸されているお酒もいいものばかりだ。

あの組織の秘蔵っ子のこの娘の、

人を魅了するチカラっていうのを目の当たりにしてみたいのよ。と言う。

「3曲。」

指を3本立てる。

「あのステージで3曲歌ってくれたら。」

なんともいえない笑みを浮かべ

「芸能界での行動は全てこちらで保証する。」2と指を立てる。

「こちらの知り得た情報を、そちらに無償提供する。」1と指を立てる。

「沙織ちゃんの日本でのママになって守ってあげる!」

最後の言葉には少しズッコケたが。

もしかして、こっちは近年秘密裏に立ち上げられたあの組織か?という考えが過る。

そんな私の考えをよそに

「3曲?うん。その前にバックステージで発声させてもらえるなら。」

と立ち上がるサオリ。

ニヤリと笑うマチ子ママ。


遠くでサオリの発声している声が聞こえる。

しばらくすると、ステージのカーテンがざわざわと揺れる。

ビッグバンド用意してたの?

あちゃ~。やばいな。

マチ子ママに視線を向けると。

「どうせなら暴走モードとやらを拝みたくってね。」と言いやがる。

確信犯だな。

でも。

知らないわよ?

店内の照明が一斉に落ちる。

ステージの幕が上がり照明に照らし出されるビッグバンドとサオリ。

テンポの速いゴージャスな音が響き渡る。

ヤバ。1曲目からこれぶちかますのね。

『Take the 'A' Train』知らないんだからね。どうなっても。

いきなりステージで演奏が始まっても無関心だった客たちが。

サオリが歌いだすと同時に。ステージに目が釘付けになって。

お店の人、すべての人の動きがとまり。

ビッグバンドメンバーも目をむき、

いつも以上の演奏をしようとボーカルに喰われまいと必死になる。

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