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TRUE COLORS  ~PURPLE~
第12章 It's all right. 1
「今後、俺が中心なって進めていくことになったよ。」

え!

「プロデュースは社長が引き続きするようになるが、

 他は社長に指示を仰ぐこともあるだろうが。
 
 ……俺が全面的に引き継ぐ。」

電話の向こうは無言が続く。

その無言の後を待つ俺。

「………何があったの?」

「何も。」「嘘おっしゃい!」

レイが叫ぶ。

「朝比奈が仕事を投げ出すなんて、そんなことある訳ないでしょう?」

「投げたんじゃ、ないんだ。」

「じゃあ、何なのよ?」

「プロデュースの一環、てとこだろう。」

はぁ?って甲高い声を上げる。

ま、そうなるわな。

「お前も、お姫様と社長の接触ない方がいいんじやないのか?」

そう言いながら、自分の中でひとつ。

これか?と思う。

「そりゃ、ね。でも………。」

サオリが……と小さく呟いている声が聞こえる。

そうだな、お姫様は落胆するよな。

会う機会がぐっと減るだろうし。

思ったことが確信に変わりつつある。

「心配すんな、レイ。社長は俺に任せはするが、

 ちゃんとお前が望んでる以上のものを提供するよう俺を動かすさ。」

うん。と返事する声が小さい。

「そこはもう心配してない。」

「なら、問題ないだろ?レイ。

 お前もヤキモキすることも少なくなる。」

そうなんだけど、と煮え切らない言い方をする。

お前もお姫様命だな。笑いが零れる。

いいさ、社長がその気なら。

何故、先程社長の考えていることが分からなかったかここで腑に落ちた。

あの社長がそちらを選びはしないだろうと、俺が高を括っていてしまったからだ。

なるほどね。

俺もまだまだだな。

臆病風に吹かれたか。らしくない。

臆病風に吹かれるような社長じゃないと、思っていたから。

ならば。

俺も自分の気持ちに蓋する必要はなくなった訳だ。

つけ入る隙が出来たわけだ。遠慮なくいかせてもらうさ。

あの時、気持ちに蓋するつもりでいたが。

彼女に会えば、やはり何もコトを起こさないままでいることが、俺も辛かった。

コト、起こしてやるよ。遠慮なく行く俺を見ろよ、社長。

そこで、どう感じるか。

感じてもう一度考えろよ。

俺も当たって砕けられたんなら、気持ちがスッキリする。

考えて、今回と同じ結論を出すなら、それでいい。


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